斜面安定44

盛土の土質係数

 道路土工-擁壁工指針や宅地防災マニュアルなどの技術基準では、擁壁の設計に用いる土質定数は、原位置試験や土質試験によって求めるのを原則としています。

しかし、擁壁の設計時点では盛土に用いられる土を特定することは一般に難しいです。

このため、設計条件として擁壁の背後に使用する土の種類を決めた上で、道路土工-擁壁工指針などの設計技術基準に示されている経験的な値を採用しているのが

実情です。盛土の土質定数を示した設計基準としては、以下に示すものが良く使われます。

道路土工-擁壁工指針(日本道路協会):礫質土、きれいな砂⇒φ=35°,c=0kN/m2,γ=20kN/m3、砂質土⇒φ=30°,c=0kN/m2,γ=19kN/m3、粘性土(液性限界wL<50%)⇒φ=25°,c=0kN/m2,γ=18kN/m3、

粘土やシルトをわずかに含んだ普通の土には粘着力があります。これは見掛けの粘着力であり降雨による含水比の増加や施工時の締固めによる乱れなどによって低下します。なので、一般には安全側を考慮して粘着力

を無視し、内部摩擦各φだけで土圧を計算します。