斜面安定9

ところで、フェレニウス法における間隙水圧はすべり面に対して垂直に作用すると扱われています。ところが、この考えではすべり面勾配が大きくなると間隙水圧が過剰に算出され、場合によってはN=W×cosα-u×ℓがマイナスとなることもあります。このような不具合を解消するため、間隙水圧をスライスに作用する浮力として扱い、次のようにして有効重量W‘を求める方法があります。

 

 W‘=W-u×b(b:スライスの幅)・・・式⑤

 

このW‘からすべり面に作用する垂直応力を求めると、

 N‘=W’×cosα=(W-u×b)×cosα・・・式⑥

となり、これより式④は以下のように修正されます。

 

 Fs=[Σ{c×ℓ+(W-u×b)×cosα×tanφ}]/ΣWsinα・・・式⑦

 

この式が、修正フェレニウス法と呼ばれ、我が国の多くの斜面設計基準で採用されています。